おおかわまりの日記

クリエイティブディレクションとかUIデザインとか会社とかやってます

携帯電話の未来予測をしてみるよ

こんにちは。

毎年恒例Appleの新製品発表を受けて、今回は珍しく真面目に(笑)仕事の話なんかを書いてみたいと思います。いつもはちゃんと仕事してるんですよ( ー`дー´)キリッ

この10年程IT業界にいる一技術者としての観点から、これから訪れるであろう携帯電話の未来を予測してみますね。結構、当たると思うんだけどな。

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まず、今回のiPhone8とiPhoneXを同時に発売する、という流れから、もうAppleはこれ以上携帯端末を進化させる気は正直そんなにない、一旦ここで終わりだぜ、という気持ちが伝わってくるな、と感じました。

なぜそう思うのか。
そもそもAppleという会社は、まず開発環境を世に幅広く公開し世界中の開発者にタダで開発競争をさせ動向を見守り、最後においしいところを押さえていく、っていうヤクザの親分のようなプロダクトテストを行なって成功を収めてきた企業です。一番稼げる組をしのぎガシラにするわけです。 

であれば、開発を続けようと思うものに関しては、iPhone7Sみたいな形で小出しにしていき、時間稼ぎをしていく必要があるわけですが、一般の人はiPhone8使ってね十分でしょ、っていうのと、もう対して進化はしないけど、節目として最終形的な iPhoneX出したぜー、って感じで出し切ってしまいました。一旦終わりね、っていうのはこういう意味です。
 
では、一体この後、何に開発パワーをかけていくのでしょう?
答えは2つ。

1. 現在はApple watchを主軸とするウェアブル端末
2. SiriをベースにしたAI

になります。

まず、ウェアラブル端末について。
今回、iPhoneには強力なAR(拡張現実)チップを搭載しました。一応技術に明るくない人のために補足すると、ARとはポケモンGOのような世界、現実の世界にコンテンツを入れることができる技術のことです。
 
これによって何が起きるかというと、強力なARコンテンツを世界中の開発者が (Appleにとっては)タダでどんどん、作ってくれるワケです。
革命的なコンテンツを作ってくれるような開発者も出てくると思います。
コンテンツが出揃ってきたころを見計らい、来年からの再来年のどこかの発表で (このタイミングはこれからの開発者の動向によって前後します。遅くても2年以内ぐらいとみてます) Apple glass的なものを発表し、携帯端末は一気にAR(拡張現実)化の道を辿るはずです。

Apple glass的なものの布石は、airpodからも見てとれます。
airpodは耳にはめたことを自動的に識別、ダブルタップでスタート / 停止というアクションで動かせるのですが、同様にglassをかけたことを識別、ダブルタップでスタート、的になるでしょう。もう確実に、glass 開発はスタートしてると思います。

今回のiPhoneXに搭載された顔認識のシステムも、その将来が何を目指すのかがわかってきます。Microsoftのkinnectのように体をセンサリングしてマッピングできるので、宙に浮いたコンテンツをスラスラ触るようなSF的世界観を作ることができるようになる、ということです。

最後に、iPhoneXにはOLED(有機EL)ディスプレイというのがiPhone史上初めて搭載されたのですが、既存のディスプレイと何が違うかというと、自発光というところです。って言ってもわかりづらいと思うんで簡単に説明すると、バックライトがないので、漆黒のような黒もリアルに再現できるディスプレイになります。
その特性を活かして、現在OLEDはPlaystation VR などの VR、AR機器に採用されています。

以上の点から、これからどんな端末を作っていこうとしてるのかが、わかりやすいぐらいに明確ですよね。
 
昔からSFにあるようなメガネのような端末で 音声 x 体感 というのがこれからの主流となり、小さな画面でぽちぽちやるような事は激減すると予測されます。

次にsiriをベースとしたAI。
あまり気がつかれてないですが、この数年でsiriはものすごい進化を遂げています。
キーワードは、"最適化"と"先読み"です。

ウェアラブル端末の話をしたりすると、画面ちっちゃくて検索できないじゃんって話、必ずでてきますよね。
まあ、もちろん音声で検索はできるんですが、それ以前に検索って行為が日常には基本必要なくなるはずなんです。情報は最適化して届けられるので。

例えば、"レシピ" と言うワードを検索した主婦がいるとして、その人は "節約" というワードと合わせて検索したかった、と仮定します。
その人が実際に一度も "レシピ 節約"というワードで検索をしてなかったとしても、その人のやりとりしているメールや日々の行動、メモの内容等から、その人は "節約" に興味があるということをAIは割り出すことができます。
そして、夕ご飯の準備をはじめる16時くらいに、勝手にAIが "節約レシピ" を配信してくれるようになるわけです。

数年後にはおそらく "最近、検索する機会めっちゃ減ったよね" といった感じで体感してることだと思います。

端末の変化の過程の中で、最後の壁はコミュニケーションとプライバシーです。
Facebook、LINE、メールなどのコミュニケーションの質がAR x AI という端末になった時どのように変化をしていくのか。
当面はAR画面の中でテキストコミュケーションが取れるようになると思うのですが、その質も全く新しいものに進化していくかもしれませんね。

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最後に、AR x AI の端末が主流となる来たるべき世界で、ITのデザイナーに必要なことは何になるか、という予測です。 
 
まずはARが基本の潮流になるのであれば、デザイナーに求められるのは1px単位での美しさを追求することより、"ユーザーの体験" をデザインする能力だと思います。
 
つまり、UX >>> UIになるということです。
 
最新のテクノロジーをきちんと試してみてるデザイナーにはわかる話だと思いますが、体験は人それぞれの身体や感覚に依存するものが大きく、紙や端末と異なり全員が同じ観点でみることはできないので、ピクセル調整みたいなものはあまり意味をなしません。それよりも『体験』。
五感を刺激する体験を作るための技術が、これからのデザイナーに最も必要とされるものだと思います。
 
とはいえ、UIがないがしろにされるわけではありません。
UIも非常に重要なのですが、この時に必要なのはハードウェアの知識です。
難解なハードウェアをスムーズに人の生活に溶け込ませることが我々の仕事です。
未来を作るというのは、そういうことだと思っています。
ハードウェアとソフトウェアのスムースな橋渡しをするためには、ハードウェアをきちんと理解しておくことが、非常に重要になると思います。

まあ、総じて予測される未来はワクワクですね!
技術者としても、人類の一人としても、楽しみなことでいっぱいです(゚∀゚) ♪